「親族がアパートで亡くなったのだけど、退去費用は誰が支払うの?」と、気になる人はいるでしょう。亡くなり方によっては高額な退去費用が発生することもあるため、支払い義務がある人を明確にしておかないと、トラブルに発展しかねません。
基本的には故人の財産から支払うことになりますが、賄えない場合は連帯保証人もしくは相続人が支払うことになります。
本記事では、アパートで死亡した人の退去費用を支払う人について解説します。退去費用の内訳や安く抑える方法も紹介しているため、支払い義務が生じる可能性がある人は、ぜひ参考にしてください。
目次
アパートで死亡した人の退去費用を支払う人
アパートの入居者が亡くなった場合、発生する退去費用は誰が負担するのか、法的な義務関係が複雑になることがあります。支払い義務は、故人の財産状況や賃貸契約の内容によって変わることは、理解しておきましょう。
退去費用を支払う可能性がある人は、以下のとおりです。
- 本人(故人の財産)
- 連帯保証人
- 相続人
- 大家・管理人
順番に解説します。
本人(故人の財産)
アパートで亡くなった場合の退去費用は、まず故人が残した財産から支払われるのが原則です。財産には預貯金や現金、受け取りが確定している保険金、株式などの有価証券が含まれます。
遺産だけで退去費用を支払える場合、相続人や連帯保証人が自己負担する必要はありません。
ただし、故人の銀行口座は死亡届が提出されると凍結され、自由にお金を引き出せなくなります。相続人全員で遺産分割協議などの手続きを経てから、費用を精算する流れが一般的です。
生前に財産状況が整理されていれば、手続きをスムーズに進められるでしょう。
連帯保証人
連帯保証人は、賃貸契約において入居者本人と同等の支払い義務を負う立場にあります。故人が支払うべき債務、つまり借金や未払いの料金を代わりに支払う義務を負っています。
連帯保証人に請求される可能性があるのは、以下のとおりです。
- 退去費用
- 未払いの家賃
- 部屋の修繕費用など
ただし、連帯保証人が立て替えて支払った分は、相続人がいる場合は遺産分割の中で精算できる場合があります。連帯保証人は非常に重い責任を負うため、契約内容をあらためて確認することが重要です。
相続人
アパートの退去費用は原則として故人の相続財産から清算するものの、財産で相殺しきれない場合は相続人が負担することになります。
遺産を相続した相続人は、現金や不動産といったプラスの財産だけでなく、故人が残した借金や支払い義務などのマイナスの財産も同時に引き継ぎます。アパートの退去費用や未払い家賃、原状回復費用(部屋を入居時の状態に戻す費用)もマイナスの財産に含まれ、支払い義務が生じた場合は支払わなければなりません。
相続人が複数いる場合は、誰がどれだけ負担するかの割合を遺産分割協議の中で決定します。
大家・管理人
相続人も連帯保証人も見つからない、あるいは連絡が取れない場合、大家や管理会社が費用を立て替えることがあります。
大家側が費用負担を避けるため、室内に残された家財道具(残置物)の処分や原状回復を独自判断でおこなうと、後でトラブルに発展しかねません。そのため、まずは「相続人の意思確認」を慎重におこないましょう。
相続人が誰もいない場合、家庭裁判所に相続財産管理人の選任を申し立てるなど、法的な手続きを経て処理する流れになります。最終的に「誰も支払えないケース」では、大家側が債務を負担せざるをえない状況もあるくらいです。
アパートの退去費用は相続放棄した人も支払うべき?
相続が発生した際にプラスの財産よりマイナスの財産(借金など)が多い場合、相続放棄を選択することで、故人の財産に関する一切の権利と義務を手放せます。
アパートの退去費用に関しても原則として支払い義務はなくなるものの、契約上の立場によっては例外も存在します。相続放棄と連帯保証人の関係性について、詳しく見ていきましょう。
原則として支払い義務はない
相続放棄の手続きを家庭裁判所でおこない受理されると、故人の財産も債務も一切引き継がないことになります。相続放棄をした人は、法的には最初から相続人ではなかったとみなされます。
そのため、アパートの退去費用や未払いの家賃などを支払う必要はありません。
相続放棄は、故人の死亡を知ったときから3ヵ月以内に家庭裁判所での手続き(申述)が必要です。管理会社や大家から支払いを請求された際に備え、相続放棄が受理されたことを証明する書類(相続放棄申述受理証明書)を用意しておくと良いでしょう。
連帯保証人になっている場合は支払い義務が発生することも
相続放棄をしていれば、相続人としての支払い義務は発生しません。ただし、故人のアパート契約において相続人自身が「連帯保証人」にもなっている場合は、状況が変わってきます。
連帯保証人としての支払い義務は、相続とは別の契約に基づいて発生しているため、相続放棄をしても消滅しません。連帯保証人としての立場で、未払い家賃や退去費用を支払う義務が残ることになります。
なお、連帯保証人の立場ではアパートの賃貸借契約を解約する権利はないため、解約手続きは他の相続人に依頼する必要があります。
アパートで死亡した場合の退去費用の内訳
アパートで入居者が亡くなった場合、通常の退去時とは異なる費用が発生することが多く、内訳は多岐にわたります。故人の状況や部屋の状態によって、必要な作業が大きく変わるためです。
発生する費用の内訳は、以下のとおりです。
- 遺品整理・不用品処分費用
- ハウスクリーニング代
- 原状回復費用
- 特殊清掃費用
- 退去日までの家賃
- 損害賠償費用
それぞれの費用の内容と目安について説明します。
遺品整理・不用品処分費用
故人が残した遺品や不用品を搬出し、適切に処分する費用が発生します。費用相場は1K〜1LDKの場合で35,000円~とされるものの、荷物の量によって大きく変動します。
いわゆる「ごみ屋敷」のように不用品が大量にある状態の場合は、作業人数やトラックの台数が増え、費用はさらに高額になりやすいです。
遺品整理では貴重品の仕分けや親族に渡す形見分けの作業なども含まれるため、専門の業者に依頼することが一般的です。
ハウスクリーニング代
退去時におこなう通常の室内清掃にかかる費用を指します。キッチンや浴室、トイレなどの水回り、床、窓ガラスなどの基本的な清掃が対象です。
一般的な相場は1万~3万円程度となります。入居時に支払った敷金から精算されることもあるものの、契約内容によって異なります。
どこまでの清掃を自分たちでおこなうべきか、大家や管理会社に相談すると出費を最小限に抑えられるでしょう。
原状回復費用
壁紙(クロス)や床材の張り替え、室内の設備が壊れている場合の修理などには、原状回復費用がかかります。生活によって生じた汚れ(汚損)や破損については、原則として相続人側の負担となります。
ただし、長年住むことで自然に発生する色あせや、普通に使っていて生じる損耗は経年劣化とみなされ、その場合に負担するのは大家側です。
請求された見積もりの根拠や内訳を細かく確認することで、過剰な請求を防げるでしょう。
特殊清掃費用
孤独死などで発見が遅れた場合、腐敗による体液の付着や強い臭気、害虫の発生などに対応するために特殊清掃を依頼します。特殊清掃は、通常のハウスクリーニングでは対応できない専門的な技術や薬剤を必要とします。
孤独死の現場では必須となる作業であり、相場は5万~30万円程度です。
汚れが床下にまで浸透している場合の床材交換や、オゾン脱臭機などによる徹底的な消臭作業を含むと、費用はさらに増加します。
退去日までの家賃
賃貸契約は、入居者の死亡によって自動的に終了するわけではありません。
故人が亡くなった日が退去日とはならず、相続人が正式に解約手続きをおこない、部屋を空け渡す日まで家賃が発生し続けます。遺品整理が長引くほど、日割りで計算される家賃の負担額は増えていきます。
費用を削減する重要なポイントは、できるだけ早く退去のスケジュールを立て、管理会社と調整することです。
損害賠償費用
自殺や孤独死、あるいは重大な汚損が発生している場合、部屋の資産価値が低下したとして損害賠償を請求されることがあります。
事故物件(心理的瑕疵物件)となると次の入居者が見つかりにくくなるため、家賃を下げざるをえず、大家にとっては損失となります。損害賠償の相場は、家賃減額分の合計1~2年分の合計額です。
請求された内容に不明点や納得がいかない点がある場合は、弁護士などの専門家に相談することで、不当な請求によるトラブルを防げます。
アパートで死亡した場合の退去費用が高額になるケース
アパートでの死亡にともなう退去費用は、状況によって通常の退去とは比べ物にならないほど高額になることがあります。どのような場合に費用が跳ね上がりやすいのか、事前に知っておくことが重要です。
退去費用が高額化する主なケースは、以下の3つです。
- 孤独死で発見が遅れた場合
- 自殺の場合
- 荷物が多い・ごみ屋敷状態の場合
あらかじめ把握しておけば退去費用を大幅に抑えられる可能性があるため、ひとつずつ見ていきましょう。
孤独死で発見が遅れた場合
孤独死の発生後、発見までに日数が経過してしまうと、遺体の腐敗が進行してしまいます。腐敗によって発生した体液や強い臭気が床材や壁紙、さらには床下の構造部分にまで浸透することがあります。
その結果、通常の清掃では対応できないため、高額な特殊清掃費用や大規模なリフォーム費用が必要です。
発見までの日数が長いほど汚染の範囲は広がり、費用は増加するでしょう。
自殺の場合
室内で自殺があった場合、損害賠償や特殊清掃費用などにより高額になる可能性があります。
部屋は「事故物件」として扱われることになり、通常よりも家賃を下げざるをえないことから、大家にとっては損失となります。そのため、大家側は損害賠償として、1~2年分の家賃減額分の請求が可能です。
告知によって入居希望者が敬遠しがちになるため、長期間空室になったり、家賃を下げざるをえなくなったりします。
さらに、自殺の場合も部屋をきれいにするために特殊清掃が必要なケースもあります。特殊清掃費用まで加わると、負担額はさらに大きくなるでしょう。
荷物が多い・ごみ屋敷状態の場合
故人の荷物が非常に多い場合や、いわゆる「ごみ屋敷」のような状態だった場合、費用は高額化します。遺品整理や不用品の搬出にかかる作業量が膨大になるためです。
処分する廃棄物の量が増えるだけでなく、仕分けや搬出に必要な作業時間や作業人数、トラックの台数も増えます。結果として、遺品整理・不用品処分の費用が数十万円単位で跳ね上がることもあるくらいです。
可能な範囲で相続人が自分たちで不用品を処分するだけでも、数万円単位で費用を抑えられる可能性があります。
アパートで死亡した場合にかかる退去費用を安く抑えるポイント
アパートで家族が亡くなった場合、退去費用が高額になることは珍しくありません。しかし、いくつかのポイントを把握することで、負担を最小限に抑えられます。
退去費用を安く抑えるためのポイントは、以下の4つです。
- できるだけ遺品整理・不用品の処分を自分たちでおこなう
- 業者を選ぶ際は相見積もりを取る
- できるだけ早めに退去する
- 業者に依頼する際は平日にする
場合によっては数十万円単位の差が出ることもあるため、ひとつずつ見ていきましょう。
できるだけ遺品整理・不用品の処分を自分たちでおこなう
自分たちでできる範囲の作業を事前に進めておくと、費用を大きく抑えられます。具体的な作業は、形見分けの物品を事前に運び出したり、可燃ごみや資源ごみの分別をしたりするなどです。
遺品整理業者に依頼する場合、遺品や不用品の量は費用の大きな決め手になります。実際に、遺品や不用品が多いほど必要なトラックの台数や作業人数が増加し、金額も跳ね上がります。
自分たちで仕分けや処分を進める際は、故人の通帳や印鑑、保険証券、契約書類などを誤って処分しないように注意してください。貴重品を保管する専用のボックスを作り管理しておくと、大切な書類の紛失を防ぎやすくなります。
業者を選ぶ際は相見積もりを取る
遺品整理や特殊清掃の費用は、業者によって設定金額が異なり「相場が非常に幅広い」のが実情です。1社だけに依頼すると、提示された金額が適正かどうか判断できず、高額請求に気付けない可能性があります。
部屋の状態によっては数十万円の費用がかかるため、業者を選ぶ際は、最低でも3社を目安に相見積もりを取りましょう。
また、出張費や見積もり後の追加料金、キャンセル料の有無は必ず事前に確認してください。
料金が安すぎる業者は、廃棄物を不法投棄する無許可の不用品回収業者の可能性があります。そのため、自治体の許可を持つ正規の業者かチェックすることが重要です。
できるだけ早めに退去する
退去費用の中でも、家賃は解約手続きが完了する日まで日割りで加算され続けるため、遺品整理が長引くほど支払い額は増えていきます。
そのため、以下の点を意識して迅速に行動すると、総額の費用を抑えやすくなるでしょう。
- 管理会社や大家と「退去予定日」をできるだけ早く共有する
- 遺品整理業者の作業日程を早めに確保する
特に、孤独死などで特殊清掃が必要になる場合は、対応が遅れると臭気や汚染が進行します。汚染が広がると作業範囲も広がり、特殊清掃費用がさらに高額化しかねません。
「とにかく早く動く」こと自体が、最大のコスト削減につながると言えます。
業者に依頼する際は平日にする
多くの遺品整理業者や特殊清掃業者は、土日祝日や繁忙期に料金が上がる料金体系を採用しています。遺品整理業者の繁忙期は、年末年始や2~4月といった引越しシーズンです。
土日祝日や繁忙期に料金が上がるのは、依頼が集中して作業スタッフを確保するためのコストが高まるためです。
もしスケジュールに余裕がある場合は、平日の作業枠を選ぶことで、数千円から数万円のコスト削減が期待できる場合があります。また、業者によっては「日時おまかせプラン」のような割引プランを用意していることがあるため、相談してみるのも良いでしょう。
アパートで死亡した場合の退去費用についてまとめ
アパートで入居者が亡くなった場合、退去費用はまず故人の財産から支払われます。財産で賄いきれない場合は連帯保証人、そして相続人が支払い義務を負う流れが一般的です。
相続放棄をすれば原則として支払い義務は免れますが、連帯保証人になっている場合は別途義務が残ります。
退去費用の内訳には遺品整理費用や原状回復費用、未払い家賃などが含まれます。また、孤独死で発見が遅れたりごみ屋敷状態だったりすると、特殊清掃費用などで高額になりがちです。
費用を抑えるには、自分たちでできる範囲で遺品整理を進めたり、複数の業者から相見積もりを取ったりすることが重要です。
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