一人暮らしの人が死亡したときの片付け費用を支払うのは誰?相続放棄した場合も解説
更新日2025.11.25

一人暮らしの家族や親族が亡くなると、片付け費用は誰が支払うのか気になるところでしょう。基本的には、相続人や連帯保証人が支払うことになります。ただし、相続放棄をした人がいる場合、対応を一歩間違えると相続を承認したと見なされかねないため、注意が必要です。

本記事では、一人暮らしの人が死亡した場合における片付け費用について、以下の内容を解説します。

  • 片付け費用を支払う人
  • 片付け費用の相場
  • 発生する費用の内訳
  • 死亡後に取るべき手続き


死亡後にスムーズに手続きを進められるように、ぜひ参考にしてください。

一人暮らしで死亡した場合の片付け費用を支払う人

一人暮らしで死亡した場合の片付け費用を支払う人

一人暮らしの方が亡くなった場合、残された部屋の片付け費用が生じます。支払い義務は故人の状況や関係者の立場によって異なり、場合によっては予期せぬ高額な請求が発生することもあります。

ここでは、片付け費用を支払う可能性のある立場の人について、以下の順で解説します。

  • 故人の財産
  • 相続人
  • 連帯保証人
  • 大家・管理人


自分が支払うべきかどうか判断できるようになるため、ぜひご一読ください。

故人の財産

原則として、遺品整理や片付けにかかる費用は、故人が残した財産から最優先で支払われます。財産に当たるものは、以下のとおりです。

  • 預貯金
  • 現金
  • 有価証券など


生前に財産目録(資産と負債の一覧表)が作成されていれば、費用負担が発生するかどうかを早期に判断できます。

財産で片付け費用を十分に賄える場合は、基本的に相続人が自己資金を投じる必要はありません。逆に故人の財産がほとんどなかったり、むしろ借金が多かったりする場合は、他の関係者が費用を負担する必要が出てきます。

相続人

故人の財産で片付け費用を賄いきれない場合、法的な相続人が支払い義務を負うことになります相続人が複数いる場合は、誰がどれくらいの割合で費用を負担するのかを話し合いで決めましょう。

相続放棄の手続きをおこなえば、遺産を受け取らない代わりに、借金や片付け費用の支払い義務も免除されます。

ただし、賃貸物件の場合は賃貸借契約上の責任が関わるため、相続放棄をしても遺品整理の責任が残る可能性があります全く手を付ける必要がないかどうかを賃貸契約書などで確認したうえで、相続放棄の決断を下すようにしましょう。

連帯保証人

故人が賃貸物件に住んでいた場合、契約時の連帯保証人が費用の支払い義務を負うケースもあります連帯保証人は故人が負っていた家賃の未払いや、退去時の原状回復費用などを支払う責任を持ちます。

遺品整理費用そのものが直接請求されるケースは少ないものの、部屋を空にするための片付けや清掃も原状回復の一環と見なされることが多いです。賃貸契約書の内容によって連帯保証人が負う範囲が異なるため、契約内容を確認したうえで取り組みましょう。

大家・管理人

大家や管理会社が次の入居者を迎えるために、自己負担で部屋の片付けや原状回復をおこなわなければならないケースも存在します。故人の財産がなく、相続人全員が相続放棄をし、なおかつ連帯保証人とも連絡が取れない場合が考えられます。

ただし、大家側が立て替えた費用は、後で相続人や連帯保証人に対して法的に請求が可能です。故人が生活保護受給者であった場合など、状況によっては自治体が葬儀費用や遺品整理費用の一部を補助する制度が利用できることもあります。

大家や管理会社が相続人や連帯保証人に片付け費用を請求する場合は、以下の内容を書面で明確にしておくことが大切です。

  • 費用の見積もり根拠
  • 請求される範囲
  • 支払いの期日など


上記を明確にしておかないと、相続人や連帯保証人とトラブルに発展する可能性があります。

一人暮らしの人が死亡した場合の片付け・遺品整理にかかる費用相場

一人暮らしの人が死亡した場合の片付け・遺品整理にかかる費用相場

遺品整理にかかる費用は、基本的に部屋の間取りと荷物の量に応じて決められます。間取りごとの費用相場を、以下の表にまとめました。

間取り 費用相場
1R・1K 35,000円~
1LDK 80,000円~
2LDK 140,000円~
3LDK 180,000円~
4LDK以上 220,000円~

賃貸物件に住んでいる一人暮らしであれば、1Rや1Kの物件に住んでいる人が多いでしょうから、そこまで片付け費用はかかりません。しかし、戸建ての持ち家に住んでいる場合は、数十万円の費用がかかると考えられます。

一人暮らしの人の遺品整理にかかる費用の内訳

一人暮らしの人の遺品整理にかかる費用の内訳

遺品整理業者に見積もりを依頼すると、さまざまな項目が記載されています。費用内訳を確認することで、適正価格であるかを見極められます。

遺品整理にかかる費用の主な内訳は、以下の5つです。

  • 不用品の処分費用
  • 業者への依頼費用
  • クリーニング代
  • 特殊清掃費用
  • 賃貸物件の退去費用


ひとつずつ見ていきましょう。

不用品の処分費用

故人が残した不用品を処分する費用が発生します。費用は基本的に、処分する物の量によって変動します。

特に、家電リサイクル法の対象品目が含まれる場合は、法律で定められたリサイクル料金が別途必要です。

【家電リサイクル法の対象家電】

  • テレビ
  • エアコン
  • 洗濯機・乾燥機
  • 冷蔵庫・冷凍庫


大型のタンスやベッドなど、サイズが大きく重量がある物が多いほど、搬出の人件費や運搬費がかさむ傾向にあります。
自治体の粗大ごみ収集制度を利用できれば費用を抑えられるものの、家からの運び出しは原則として自分たちでおこないます。

遺品整理業者に依頼する前に、自分たちでできる範囲で不用品を処分しておくと、全体の費用を抑えることにつながるでしょう。

業者への依頼費用

遺品整理を専門業者に依頼する場合、業者に支払う費用が発生します。業者への依頼費用は、以下の項目に応じて決まります。

  • 作業員の人数、所要時間
  • トラックの台数
  • 部屋の間取り
  • 遺品・不用品の量など


作業員の人件費に含まれるのは、遺品の仕分けや部屋からの搬出などの作業です。

基本料金にどこまでの作業が含まれているのかは業者によって異なるため、見積もり時に確認しておきましょう。

クリーニング代

遺品をすべて搬出した後、室内の基本的な清掃をおこなうためにかかる費用も考慮する必要があります。多くの遺品整理業者では、掃除機がけや水拭きなどの簡易的な清掃は基本料金の範囲でおこなってくれます。

しかし、キッチンや浴室、トイレなどの水回りの清掃は、専門のハウスクリーニングサービスの依頼が必要です。ご自身で依頼しなかった場合でも、退去後に大家・管理人から請求されるケースもあります。

故人が亡くなった部屋の匂いや汚れが軽い場合は、このクリーニング代の範囲で対応できることもあります。

特殊清掃費用

故人の死因が孤独死や自殺などで、なおかつ発見までに時間が経過した場合に必要となるのが特殊清掃です。

通常のクリーニングでは対応できない汚れを除去するサービスで、具体的に以下の作業をおこないます。

  • 体液や血液の除去
  • 感染症予防のための消毒作業
  • 害虫駆除
  • 強烈な死臭を除去するためのオゾン脱臭


特殊清掃は高度な技術と専門機材が必要なことに加え、作業の難易度が高いため、費用は数万円から数十万円と高額になりやすいです。
室内の汚染状況が深刻であるほど、作業回数や使用する機材が増え、費用も高くなる傾向があります。

賃貸物件の退去費用

故人が賃貸物件に住んでいた場合、遺品整理費用とは別に、物件を大家に返すための退去費用が発生します。具体的には、未払いの家賃や原状回復費用の清算が含まれます。

通常の使用による傷や日焼けは経年劣化とみなされ、原則として借主の負担にはなりません。

しかし、汚れの原因が孤独死による汚損や腐敗、生前の喫煙によるヤニ汚れなどの場合は、原状回復費用として請求対象となります。

どこまでが故人の責任で、どこまでが経年変化にあたるかについては、国土交通省が定めたガイドラインを参考に、管理会社や大家と冷静に話し合うことが重要です。

退去立ち会いの際には見積もり書の内容を細かく確認し、部屋の状態を写真や記録に残しておくと、後のトラブル防止に役立ちます。

【参考】「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」について|国土交通省

一人暮らしの人が死亡した後に取るべき手続き

一人暮らしの人が死亡した後に取るべき手続き

身近な人が一人暮らしの住まいで亡くなった場合、遺品整理や費用の問題と並行して、さまざまな行政手続きや契約解除を進めなければなりません。手続きには期限が設けられているものも多く、放置すると遅延損害金という形で費用が上乗せされる可能性もあります。

ここでは、故人が亡くなった後に取るべき主要な手続きを、以下4つのカテゴリに分けて解説します。

  • 行政の手続き
  • 相続の手続き
  • 故人が利用していたサービスの解約手続き
  • 賃貸物件の退去手続き


手続き漏れがないように、ひとつずつ確認してください。

行政の手続き

行政関連の手続きを、以下にまとめました。

  • 死亡届
  • 年金受給停止
  • 健康保険証・介護保険賞の返却
  • 「住民票の除票」「戸籍謄本」の取得


死亡届は、故人の死亡を知った日から7日以内に提出する必要があります。

故人の「住民票の除票」や「戸籍謄本」は相続手続きに必要となるため、早めに取得しておきましょう。

役所での手続きは多岐にわたるため、事前に必要なものをリストアップし、一度にまとめて実施すると二度手間を防げます。

なお、手続きは相続人自身の居住地ではなく、故人が住民票を置いていた自治体の役所でおこなう必要がある点に注意が必要です。遠方で現地へ出向けない場合は、郵送で発行を依頼しましょう。

相続の手続き

相続手続きを進めるために、故人にどのような財産がどれくらい残っているのかを確認し、財産目録を作成します。プラスの財産だけでなくマイナスの財産もすべて洗い出し、相続人全員で情報を共有します。

プラスの財産
  • 預貯金
  • 現金
  • 保険
  • 株式
  • 不動産など
マイナスの財産
  • 借金
  • ローン
  • 損害賠償金など

相続人が複数いる場合は、遺産の分け方や遺品整理の費用を負担する割合を話し合いましょう。

もし故人に借金が多く、財産を相続したくない場合は、死亡を知った日から3ヵ月以内に家庭裁判所で相続放棄の手続きをおこなう必要があります。

相続放棄は個人の判断で手続きが可能です。しかし、他の相続人がスムーズに相続を進められるようにするために、相続放棄をする旨はあらかじめ伝えておきましょう。

故人が利用していたサービスの解約手続き

故人が契約していたさまざまなサービスの解約手続きも、速やかにおこなう必要があります。対象となるサービスを、以下にピックアップしました。

  • 光熱費(電気・ガス・水道など)
  • スマートフォン
  • インターネット回線
  • 新聞
  • サブスクリプションサービス
  • 保険(生命保険・損害保険)
  • クレジットカード
  • 銀行口座など


解約手続きを怠ると、利用していなくても料金が自動で引き落とされ続けます。通帳や各種カード、保険証書などの重要書類を遺品整理の早い段階で確保しておくと、解約手続きがスムーズに進むでしょう。

賃貸物件の退去手続き

故人が賃貸物件に住んでいた場合は、管理会社または大家に死亡の事実を速やかに連絡してください。その際、鍵の引き渡し方法や遺品整理後の退去立ち会いの必要性、退去日を確認します。

原状回復費用や、万が一特殊清掃が必要になった場合の費用負担について、誰が責任を負うのかを契約書に基づいて事前に確認しておくことが重要です。

高額な修繕費を請求された場合に備え、退去前に部屋の状態をスマートフォンなどで写真や動画に記録しておくと、立ち会い時に交渉しやすくなるでしょう。

遺品整理の費用を抑えるポイント

遺品整理の費用を抑えるポイント

遺品整理は高額な費用がかかる場合があるものの、工夫次第で負担の軽減が可能です。特に一人暮らしの部屋の片付けでは、物量が比較的少ないケースも多く、対策が取りやすいでしょう。

遺品整理の費用をできるだけ抑えるポイントは、以下の3つです。

  • できる限り自分たちで整理・処分をする
  • 遺品の買取りを利用する
  • 業者を選ぶ際は相見積もりを取る


数万円単位で安くなる可能性があるため、参考にしてください。

できる限り自分たちで整理・処分をする

遺品整理の費用は処分する「物量」によって変動するため、業者に依頼する前に不用品を減らしておくことが効果的です。

衣類や雑貨、小型の家具など、自分たちで分別・梱包できる物は自治体のごみ回収を利用して処分すれば、費用を抑えられます。

ただし、処分を進める前に以下の物は分別しておきましょう。

  • 現金
  • 貴重品
  • 重要書類
  • 故人との思い出の品など


誤って捨てると、相続や手続きに支障をきたす可能性があります。

遺品の買取りを利用する

不用品の中には、リサイクル業者や遺品整理業者が買取りしてくれる物品が含まれていることは珍しくありません買取りの対象になりやすい物品は、以下のとおりです。

  • 製造年式が新しめの家電
  • ブランド品
  • 骨董品
  • 工具
  • 楽器
  • 貴金属など


買取りが成立すれば、その金額を遺品整理の作業費用から相殺してもらえるため、実質的な負担額を減らせます。オークションサイトやフリマアプリを利用すれば高値で売れる可能性はあるものの、出品や梱包、発送の手間と時間がかかるため、状況に応じて選択しましょう。

買取りを依頼する際は、その業者が都道府県の公安委員会から「古物商許可」を得ているか、見積もり前に確認しておくと安心です。

業者を選ぶ際は相見積もりを取る

遺品整理業者の料金設定は会社ごとに大きな差があるため、必ず複数の業者から見積もりを取ることが重要です最低でも2~3社に現地へ来てもらい、作業内容と総額を比較しましょう。

電話やメールだけの見積もりは、当日に荷物量が多いなどの理由で追加費用が発生しやすいため、必ず訪問見積もりを依頼してください。実際に相見積もりを取ることで、料金が数万円単位で変わることもあり、納得のいく業者選びができます。

また、見積もり時のスタッフの態度や説明の丁寧さを見ることで、信頼できる業者かどうかを判断する材料にもなります。

相続放棄をする人は片付け費用を支払わなくてもいい?注意すべきポイント

相続放棄をする人は片付け費用を支払わなくてもいい?注意すべきポイント

相続放棄をすれば遺産を引き継げない代わりに、借金や遺品整理費用の支払い義務が免除されると考えるかもしれません。しかし、相続放棄をしたとしても賃貸物件の片付け費用の支払いは例外となるケースもあります。

片付け費用は「相続の問題」ではなく、賃貸契約に基づく「原状回復義務」として扱われる場合があるためです。

特に、相続放棄をした人が故人の「連帯保証人」にもなっていた場合は、相続人としての立場は放棄できても、連帯保証人としての支払い義務は残ります。

連帯保証人になっている場合は、本当に相続放棄をすべきか慎重に判断するようにしましょう。

また、相続人全員が相続放棄をした場合、最終的に「相続財産管理人」が選任され、その手続き費用が別途発生することもあります。相続人間で相続放棄をすることを共有できる場合は、相続財産管理人について、あらかじめ話し合っておくと良いでしょう。

一人暮らしの人が死亡した際にかかる片づけ費用についてまとめ

一人暮らしの人が死亡した際にかかる片づけ費用についてまとめ

一人暮らしの人が死亡した場合に生じる片付け費用は、まずは個人の財産から支払えないか調べてみてください。賄いきれない場合は、相続人および連帯保証人に支払い義務が生じます。

相続人の場合は、相続放棄をすれば原則として遺品整理費用を支払う必要はありません。ただし、連帯保証人に名を連ねている場合は、たとえ相続放棄をしていたとしても支払い義務が生じる可能性があります。

また、相続放棄の手続きが完了した人は、相続の作業には一切手を出さないことも重要です。遺品整理に手を付けた場合、相続を承認したとみなされるケースもあるためです。

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