遺品整理中に現金が見つかるケースは珍しくない一方で「どうすればいいのかわからない…」と戸惑う人は、少なくありません。
遺品整理で見つけた現金は相続財産として扱われるため、相続人全員での話し合いや税務申告が必要です。現金を勝手に処分したり、自分の物として持ち去ったりすると、法的な問題に発展する可能性があります。そのため、現金を見つけたときの適切な対処法を理解しておくことが大切です。
本記事では、遺品整理の際によく現金が見つかる場所や、発見時のトラブルを未然に防ぐための具体的な対処法について詳しく解説します。記事を参考にすれば、安心して遺品整理に取り組めるでしょう。
目次
遺品整理で現金が見つかりやすい場所8つ

遺品整理で現金が見つかりやすい場所は、以下の8つです。
- タンス
- 机、本の間
- 仏壇の引き出し
- キッチン
- バッグや衣類のポケット
- 畳や布団の下
- 避難用持ち出し袋
- 電子機器
遺品整理の際、現金以外にも貴重品や大切な書類が見つかる可能性があるため、慎重に整理を進めましょう。
タンス
現金は衣類に紛れてタンスの隅や引き出しの奥に保管されていることが多いため、遺品整理の際は丁寧に確認してください。古いタンスの場合、着物や帯と一緒に保管されている傾向があります。クローゼットも同様で、季節物の衣類と一緒に保管されているケースが多いです。
遺品整理を始める際は、まずタンスやクローゼットの引き出しの隅々まで念入りにチェックしましょう。
机、本の間
机の引き出しの中や本の間を確認すると、思いがけずお金の入った封筒が見つかることがあります。特に古い書類や領収書と一緒に保管されていることが多いので、遺品整理の際は丁寧に確認してください。
普段使わない引き出しやたまにしか読まない本の場合、大切な書類や現金をしまってそのまま長期間にわたり放置するケースは珍しくありません。本棚の奥や書類の間にも、注意を払いましょう。
仏壇の引き出し
日本では神棚や仏壇の中に貴重品を保管することは、昔からある習慣です。仏壇や神棚には、遺産相続に関係する重要書類が含まれている可能性が高いため、必ず確認しましょう。仏壇の引き出しには現金に限らず、以下の書類が保管されていることが多く見られます。
- 家系図
- 土地の権利書
- 預金通帳
- 印鑑
- 古い写真
- 結婚式の記録など
見落としがないように、一つひとつの引き出しを慎重に調べるようにしましょう。
キッチン
遺品整理の際、キッチンに隠していたお金が見つかることがよくあります。キッチンの収納場所や床下収納など、普段家族が目にしない場所に隠されているケースが多いです。
キッチンの収納場所は日常的な生活動線から外れているため、発見されにくい傾向があります。冷蔵庫の中に隠している可能性もあるため「ここにはないだろう」と思う所を探すと見つかることもあるでしょう。
バッグや衣類のポケット
遺品整理をする際に故人が使用していたバッグの中を確認すると、財布や現金、貴重品などが残されていることが珍しくありません。特に普段使いのバッグやポーチには注意が必要です。
ジャケットやコートの内ポケット、ズボンの後ろポケットなどにも、現金や領収書が入っていることがあります。また、ポケットティッシュの中にも小銭が入っていることが多いため、一つひとつ丁寧に確認しましょう。
畳や布団の下
カーペットの下は、多くの人が現金を隠す傾向にあります。簡単に持ち上げられ、日常的に目につかない場所であるため、現金の隠し場所として利用されることが多いです。
高齢者の中には、布団の下にお金を隠す習慣がある人も多くいます。布団であれば毎日使うため、勝手に持ち出される心配はないと考えられているためです。他にも、座布団や畳の下などで現金が発見されるケースも珍しくありません。
このように、敷き物の下は現金の隠し場所として要注意ポイントです。あらゆる物の下を丁寧にチェックすることをおすすめします。
避難用持ち出し袋
近年では自然災害の増加にともない、万が一の事態に備えて、避難用持ち出し袋に現金を入れることが一般的になっています。
避難用持ち出し袋には現金の他にも、銀行の通帳や印鑑、運転免許証やマイナンバーカード、保険証といった重要な書類や貴重品が入っていることが多く見られます。
そのため、遺品整理の際は防災用品や避難グッズの中身を慎重に確認し、貴重品や重要書類が含まれていないか丁寧に調べることが大切です。
電子機器
電子機器の内部スペースに、現金を保管する人も増えてきています。特にデスクトップパソコンの場合、ケース内部に空きスペースがあり、日常的に開けることが少ないため、現金を隠すために最適な場所となっています。
電子機器の中にも現金が隠されている可能性があるため、内部をしっかりと確認してみてください。ただし、精密機器なので慎重に探索しましょう。
遺品整理で現金を発見した場合の対処法

遺品整理で見つかったお金は、金額の大小に関わらず、すべて遺産として取り扱われます。硬貨や紙幣だけでなく、預金通帳や有価証券なども含まれます。
相続財産は法律上、すべての相続人が共同で所有する権利を持っているため、相続人全員で話し合いをして公平に分配しましょう。遺品整理中に現金を発見した場合は、必ず他の相続人に報告してください。
遺品整理で発見された現金は、その他の相続財産と同様に相続税の課税対象となる可能性があるため、金額を記録しておくことが大切です。
相続税は、相続人が受け取った財産の合計額が法定の基準額を超過した場合にのみ発生する税金です。基準額は相続人の人数によって変動します。相続税に関しては、以下3つのポイントを理解しておくとよいでしょう。
- 基礎控除額(相続税が課税されない金額の上限)を超えた場合にのみ、その超過分に対して税金が課される
- 基礎控除額の計算方法は「3,000万円+(600万円×法定相続人の人数)」で算出できる
- 相続開始を知った日から10ヵ月以内に管轄の税務署に必要な申告書類を提出し、算出された税額を納付する必要がある
相続に関する手続きや税務について不明な点がある場合は、早めに税理士や弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。
【参考】「財産を相続したとき」国税庁
遺品整理で現金に関するトラブル4つ

遺品整理で現金が見つかったときに、対処法を間違えると法的なトラブルに発展するケースもあります。よく起こるトラブルは、以下の4つです。
- 現金があると知らずに捨ててしまう
- 親族や知人が現金を持ち帰ってしまう
- 遺品整理業者にネコババされてしまう
- 相続税の申告漏れが発生する
それぞれ詳しく解説します。
現金があると知らずに捨ててしまう
遺品整理でよくあるトラブルは、大切な現金や貴重品を見落として誤って捨ててしまうことです。貴重品を知らずに捨ててしまい、後でトラブルが発生してしまうケースがあります。
トラブルを未然に防ぐためには、まず故人が残した遺言書やエンディングノートを探し、内容を確認することが重要です。遺言書やエンディングノートには、現金や貴重品の具体的な保管場所が明確に記載されていることがあるため、最優先で確認しましょう。
もし遺言書やエンディングノートがない場合や、保管場所が具体的に書かれていない場合は、先述した現金の隠し場所を参考に探してみてください。
親族や知人が現金を持ち帰ってしまう
遺品整理で手伝いに来た親族や知人が、タンスや押入れの中で現金を発見した際に、誰にも知らせず密かに持ち去ってしまうケースがあります。ネコババされたとしても現金があったことを証明するのは難しく、誰が持ち去ったのかを特定できないため、取り戻すことは不可能です。
大切な財産が失われるだけでなく、疑念や不信感が生まれることで、親族や知人との大切な信頼関係が崩れることにつながります。今後も良好な関係を維持するために、自分が現金を発見したときは相続人間で共有するようにしましょう。
遺品整理業者にネコババされてしまう
ネコババは身内だけでなく、遺品整理業者に依頼した場合も起こりえます。悪徳な業者にあたると、作業中に発見した現金や貴重品を無断で持ち去られるケースがあります。現金だけでなく価値の高い物品もネコババされる可能性があるため、遺品整理を依頼する前に以下の物品は別の場所で保管しておきましょう。
- 宝石
- 装飾品
- 骨董品
- 美術品
- 切手
- コイン類など
業者によるネコババを未然に防ぐために効果的なのは、作業中は必ず家族や信頼できる人が立ち会うことです。また、事前に業者の評判や実績を十分に調査し、信頼できる業者に依頼しましょう。
相続税の申告漏れが発生する
見つけた現金を申告しないと、相続税の申告漏れとして重加算税や延滞税を課されるリスクがあります。現金を見つけた場合は、正しく正直に申告しましょう。
加算税・延滞税は、本来納めるべき税額に加えて追加で支払う必要があります。重加算税は高額な追徴金となり、さらに延滞税は期間に応じて年利で計算されるため、時間の経過とともに負担が増加します。
悪質な場合は、脱税として刑事責任を問われる可能性もあり、最悪の場合、懲役刑などの厳しい処罰を科せられかねません。
遺品整理での現金トラブルを防ぐ方法5選

遺品整理では現金によるトラブルは決して珍しくないため、事前に防ぐ施策を取り入れることをおすすめします。具体的な方法は、以下の5つです。
- 遺言書やエンディングノートを探す
- 立会人をつくる
- 現金の記録をつける
- 遺族で話し合う
- 優良な遺品整理業者に依頼する
ひとつずつ見ていきましょう。
遺言書やエンディングノートを探す
現金を間違って捨ててしまわないように、必ず遺言書やエンディングノートを探して確認しましょう。事前に遺言書を見つけられれば、故人の最後の意思を尊重し、大切な思い出の品や財産を希望通りに整理できます。また、相続に関する重要な情報も含まれている可能性があるため、しっかりと確認することが大切です。
遺言書やエンディングノートがあれば、取り返しのつかない問題を未然に防げ、遺品整理をスムーズに進められます。残された家族の心の負担も軽減されるでしょう。
立会人をつくる
遺品整理を自分たちでおこなう場合や業者に依頼する際は、必ず立会人をたてることをおすすめします。相続人が立ち会う具体的なメリットは、以下のとおりです。
- 現金や貴重品、重要書類などが発見された際に、その場で遺産目録への記録ができる
- 相続人同士でお互いの行動を確認でき、物品の無断持ち出しや不正行為を未然に防止できる
- 作業の進め方や判断に迷う事項について、その場で相続人同士が確認・相談できるため、遺品整理がスムーズになる
遺産目録とは、所有していた財産を詳細に記載した一覧表のことで、相続手続きにおいて重要な書類となります。
現金の記録をつける
遺品の中で現金を見つけたら、以下のポイントに気を付けて記録をつけましょう。正確な記録は、遺産分配の際の重要な証拠となります。
- 見つかった現金をすべて集めて、正確に数える
- 現金の種類と枚数を書き出す(例:1万円札10枚、5千円札5枚、千円札20枚、硬貨なども含める)
- どこで、いつ、誰が見つけたかメモする(発見場所の詳細や立会人の氏名も含める)
見つけた現金は遺族で一緒に確認し、金額や発見状況を写真に撮影して残しておくとよいでしょう。写真は日付と時刻の情報も含めて保管してください。現金の詳細な記録を残せば、後日遺族間での認識の違いや行き違いによるトラブルを未然に防げます。
遺品整理の過程で発見された現金は、すべて漏れなく遺産目録に追加しましょう。遺産分割の際の重要な資料となるため、正確な金額を記入してください。
遺族で話し合う
遺産目録を作成した後は相続人全員で集まり、遺産分割についての具体的な話し合いを進めることが望ましいです。話し合いでは、各相続人の希望や事情を丁寧に確認していきましょう。
遺言書やエンディングノートには、故人が保管していたタンス預金や金庫内の現金など、文書に明記されていない財産が見つかることがあります。故人の意思が明確ではない現金が発見された場合には弁護士や税理士に相談しながら、分配方法を検討することがおすすめです。専門家のアドバイスを受ければ、金銭面でのトラブルを防げます。
優良な遺品整理業者に依頼する
優良な遺品整理業者は、現金や貴重品を見つけた際に遺族に報告する管理体制を整えているため、不正な持ち出しや横領などの心配がありません。信頼できる専門業者に依頼すれば、遺品の仕分けや整理、必要書類の確認など、時間と労力のかかる作業をすべて任せられ、遺族の精神的・肉体的な負担を大幅に軽減できます。
多くの優良業者は、過去の遺品整理の実績や顧客からの評価をホームページで詳しく公開しています。実績や評価は、業者選びの重要な判断材料となるでしょう。
信頼できる遺品整理業者に依頼すれば、安全かつスムーズに遺品整理を完了できます。
【関連記事】遺品整理業者の選び方5選!料金相場や依頼するときの注意点も解説
遺品整理での現金についてのまとめ
遺品整理中に現金を発見した場合、法律上は相続財産として扱われるため、発見時の状況や金額、発見場所などを記録し、写真などの証拠も残しておくことが重要です。現金を探す際は、以下の場所は入念に探すようにしましょう。
- タンスの奥や引き出し
- 本の間
- 仏壇周辺
- 床下収納
- 着物や季節の衣類の間
- 古い財布や封筒、貴重品ケースの中など
発見した現金は相続人全員で確認・記録し、発見日時や状況とともに遺産目録に正確に記載してください。その後の分配方法については、税理士や弁護士などの専門家に相談しながら進めることをおすすめします。専門家に相談すれば、相続人間でのトラブルを最小限に防げるでしょう。
遺品整理は信頼できる遺品整理業者に依頼すると、安全かつスムーズな整理ができるため、ぜひ検討してみてください。
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