「遺品整理で服がたくさん出てきてどうしよう…」と悩んでいる人もいるでしょう。遺品整理では衣類が大量に出てくるケースが多く、どのように手をつければよいか戸惑いがちです。
大量の衣類は適切に仕分けたうえで、処分します。まだ使える衣類であれば、仕立て直しやリメイクにより再利用するのも良いでしょう。
本記事では、遺品整理で服を整理・処分する際のポイントを詳しく解説します。処分方法や業者に依頼するメリットまで紹介しているため、ぜひ最後までご覧ください。
目次
遺品整理で服に手を付ける前に必ずやるべきこと4選

衣類を片付ける前に確認すべき手順を押さえておくと、相続トラブルや貴重品の紛失を防げます。この章では、最初におこなうべき4つの下準備を解説します。
- 遺言書を確認
- 家族・親族と形見分けの希望を共有
- ポケット・衣装ケースの貴重品チェック
- 写真を撮っておく
ひとつずつ確認していきましょう。
遺言書を確認
遺品整理を始める前に最初にチェックしたいのが、遺言書やエンディングノートの内容です。公正証書遺言はもちろん、自筆証書でも家庭裁判所で検認を受ければ法的効力を持ちます。
まずは遺言書の内容に沿って進めることになるため、遺族の判断で勝手に処分するのは避けてください。
タンスや金庫の奥、机の引き出しなど思わぬ場所に保管されていることもあるため、家族全員で役割分担して捜索しましょう。見つかったらスマートフォンで撮影し、その画像をLINEグループなどで共有しておくと「聞いていない」という誤解を防げます。
遺言書が見つからない場合でもエンディングノートやメモ帳に希望が残されているケースがあるので、紙一枚でも見逃さないことが大切です。
家族・親族と形見分けの希望を共有
衣類の整理をする前に家族・親族が集まる場を設け、「欲しい服」「不要だが手放すのが忍びない服」を正直に伝え合いましょう。1人で衣類の仕分けすると「捨てられてしまった」「勝手に売った」という不満が生まれがちです。
実際に、衣類は思い入れの深さが人によって大きく異なります。喪服や晴れ着、旅行でよく着ていたダウンジャケットなど、それぞれのアイテムに秘めた思い出が違います。
希望が重複した場合は譲り合ったり写真に撮って共有したりなど、代替策を検討すると、円満にまとまるでしょう。
とりわけ高級ブランドやサイズの合う喪服は希望者が集中しやすいため、早い段階でルールを決めておくとスムーズです。
話し合いの議事録をメモやチャットに残しておくと後日の行き違いを防止でき、結果的に片付けの時間短縮につながります。
ポケット・衣装ケースの貴重品チェック
故人のジャケットやパンツのポケットには、現金や宝石などの思わぬ貴重品が入り込んでいることがあるため、確認するようにしてください。衣装ケースやスーツケースの底には年金手帳や株式配当通知、銀行通帳が挟まっている可能性もあります。
これらを見落として処分してしまうと、再発行や相続手続きに手間取り、最悪の場合資産を失う可能性も考えられます。
仕分けの前には必ず一着ずつポケットを裏返し、裏地も含めて手で触れながら確認しましょう。バッグ類にも入っていることがあるため、内ポケットまで確認します。現金や貴重品が出てきた際は写真を撮り、金額や内容を共有メモに記録しておくと安心です。
写真を撮っておく
「思い出の服を手放すのがつらい」という気持ちは誰にでもあります。そうした感情をケアする方法として有効なのが、写真の活用です。
スマートフォンで服を撮影しておけば、物を処分しても写真で思い出を振り返れます。
特にアルバム機能やクラウド保存を利用すると、遠方に住む親族とも簡単に共有でき、形見分けを検討する材料にもなります。写真に残すことで「物としての所有」から「デジタルでの保存」へ意識が切り替わり、処分することへの抵抗感が大幅に軽減されるとの声も多いです。
撮影後は「写真を撮ったから処分OK」という合意が得やすくなるため、仕分け作業全体のスピードアップにもつながります。
遺品整理で服の仕分け4ステップ

実際にタンスを開けたら、どの服を残し、手放すか迷うものです。ここでは、遺品整理における衣類の仕分け手順を紹介します。
- 残す服を決める
- 寄付や買取などの再利用する服を決める
- 保留しておく服を決める
- 処分する服を決める
迷いを最小限にできるようになるため、ぜひ参考にしてください。
残す服を決める
まずは「絶対に残しておきたい服」を選びます。故人に思い出深い服や、家族・親族が今後も着用できる服、ブランド品など価値のある服は保管しておきましょう。
特に状態の良いブランド衣類は買取りに出せる可能性もあるため、まず手元に残すことをおすすめします。喪服や和服など、冠婚葬祭で使えそうなフォーマルな衣類も再活用のために残しておくと良いでしょう。
寄付や買取などの再利用する服を決める
次に、状態が良い物や今後着る予定がない服を再利用目的で分けます。
古着屋やリサイクルショップに出せる服を売却すれば、買取金額で遺品整理費用の一部に充てられます。ブランド物であれば、高額買取も期待できるでしょう。
まだ着られる衣類は寄付先に回す選択肢もあります。このように、再利用枠を意識して衣類を仕分けると、単に「捨てる」という罪悪感を和らげられるでしょう。
保留しておく服を決める
残すか手放すか迷う衣類が多い場合は「保留ボックス」に集め、一時的に保留する場所を設けると、遺品整理がスムーズになります。保留ボックスの中の衣類は、3〜6ヵ月後に見直すルールを決め、そのタイミングで再度見直します。
衣類は季節によって感じ方が変わるため、時間を置いて見直すことで「やっぱり要らない」と判断できる場合も多いです。
再確認時に残したい気持ちが強い物は「残す」へ、あまり必要性を感じない服は「再利用」または「処分」へ移します。
処分する服を決める
最後に、明らかに着用機会のない衣類やダメージが大きい衣類を処分します。優先して処分する衣類の例は、以下のとおりです。
- 穴やシミ、変色が目立つ服
- 大量にある下着類 など
処分を決めたら自治体の分別ルールをチェックし、燃えるごみか古着資源回収かを確認しましょう。大量にあると運び出しが大変なため、家庭ごみの日を複数回使ったり、遺品整理業者に回収を依頼したりする方法もあります。
遺品整理で出てきた服の2つの活かし方

遺品整理で出てきた衣類の中で残すアイテムを決めたものの「残したいけれど着る予定はない」という場合もあるでしょう。着る予定がないのであれば、以下2つの方法で衣類を最大限に活用できないか検討してみてください。
- 仕立て直しをする
- リメイクする
この章では、2つの活用術を具体例に解説します。ぜひ参考にしてみてください。
仕立て直しをする
和服や高級スーツなど、上質な生地を使用している衣類は仕立て直すこともおすすめです。
たとえば、紳士物のダブルジャケットは袖丈と肩幅を詰めるだけで現代的なシルエットになり、孫世代が成人式や就職活動で着用できるようになります。着物の場合は「洗い張り」で反物状態に戻し、サイズや柄を活かして現代風のコートやワンピースへリフォームする例も増えています。
こうした仕立て直しは一定の費用がかかる一方で、新品を買い直すよりコストを抑えられる場合も多く、何より故人の思い出を受け継げる点が大きなメリットです。
職人へ依頼するときは、思い入れや仕上がりイメージを共有しておくと、希望に沿った一着に生まれ変わるでしょう。
リメイクする
「着る予定はないが捨てるのは忍びない」という服は、生地や装飾パーツを活かして小物にリメイクすると新たな存在価値が生まれます。
アイデア次第でバリエーションは無限大で、一例として以下のようなアイテムが挙げられます。
- ワイシャツの生地を利用したブックカバー
- ネクタイで作るポーチ
- セーターをクッションカバーに変える など
ハンドメイド作家にオンラインでオーダーするサービスも増えており、数千円から世界にひとつだけの記念品の作成が可能です。
リメイクの魅力は、スペースが限られた家でも思い出を残せる点にあります。「思い出は残し、生活空間はすっきり」を両立できるため、ぜひ取り入れてみてください。
遺品整理の服の処分方法6選

遺品整理で出てきた服をどのように処分すればよいか、わからない人は多いでしょう。処分する方法は、主に以下の6つです。
- 家庭ごみとして処分する
- リサイクルショップで売却する
- フリマアプリで売却する
- 古着回収ボックスを利用する
- 必要としている人に寄付する
- 遺品整理業者に引き取ってもらう
費用や手間を比較しながら、最適な方法を選んでみてください。
家庭ごみとして処分する
最も手軽な方法は、自治体の分別ルールに従い家庭ごみとして処分することです。多くの自治体では、衣類を「古着ボックス」や「燃えるごみ」として回収しています。
指定のごみ袋や透明袋に入れる際、金具やボタンなどの金属が大量に付いた衣類は外すよう求められる場合もあるため、事前に分別マニュアルを確認してください。無料で出せるものの回収日が限られており、搬出を自分でおこなう必要があります。
リサイクルショップで売却する
まだ十分に着られる衣類は、リサイクルショップに持ち込むとお金に換えられます。ブランド品やビンテージ古着は高値で売れる可能性が高いです。
持ち込む前に洗濯やアイロンがけをしておくと査定額がアップしやすく、シーズン前に売れば需要が高まり、買取価格が上がることが期待できます。
ただし、ノーブランドや汚れがある服は値段が付かない場合があります。
フリマアプリで売却する
衣類の販売先として、フリマアプリを利用するのも良いでしょう。多くの古着商品が売買されており、自分で値段を設定して販売できるため、リサイクルショップよりも高値で売れることも期待できます。
購入率を上げるポイントは、写真を数枚撮影してブランド名やサイズ、使用回数など詳細情報を記載することです。
ただし、デメリットとして梱包や発送、購入者対応などの手間がかかるうえ、売れるまでに時間がかかる可能性があることが挙げられます。
古着回収ボックスを利用する
大型ショッピングセンターや衣料品店に設置されている古着回収ボックスは、無料で衣類を持ち込める便利なサービスです。
ユニクロの「RE.UNIQLO」やH&Mの「Garment Collecting」プログラムでは古着を回収し、リユースやリサイクルに活用しています。イオンモールなどの商業施設にも回収ボックスがあり、回収品は途上国の支援などに活用されます。
持ち込む際は洗濯済みの清潔な状態にしてください。ボックスに入れるだけで社会貢献につながるうえに、クーポンやポイント付与を受けられる店舗もあります
必要としている人に寄付する
「捨てるより誰かの役に立ちたい」と考えている人は、衣類寄付を検討してみましょう。NPO法人や社会福祉協議会が衣類の寄付を募り、生活困窮者支援や災害被災地支援に役立てています。
内容や送料負担は団体ごとに異なり、未使用品のみなど細かい条件があるため、事前に確認をしてください。段ボールに詰める作業や送料負担があるため、量が多い場合は負担感が大きくなる可能性も意識しましょう。
遺品整理業者に引き取ってもらう
「忙しくて時間がない」「量が膨大で運べない」といった場合は、遺品整理業者への依頼がおすすめです。
衣類の仕分けや処分、買取りを一括で任せられます。料金は量や搬出状況、買取額によって変動するものの、複数社で相見積もりを取ると費用感を把握しやすいです。
遺品整理業者は数多くあるため、選ぶ際はまず行政許可(一般廃棄物収集運搬業)と古物商許可を保有しているか確認してください。 許可を持たずに営業する業者は違法です。
「格安」を謳いながら後から高額請求したり、回収した衣類を不法投棄したりといったトラブルが、実際に報告されています。
各自治体では、ホームページに許可業者一覧を公表しているため、契約前に確認できます。依頼する際は、見積書に追加費用の条件が明記されているかも確認しましょう。
服の処分を遺品整理業者に依頼するメリット3つ

時間がないうえに、服の量が多いと感じている人は、遺品整理業者に任せるのがおすすめです。この章では、服の処分を遺品整理業者に依頼するメリットを3つ解説します。
- 分別・搬出などの作業を一任できる
- 買取を活用して費用を抑えられる
- 供養付きで安心して任せられる
服以外の遺品を処分する際の参考にもなるため、ぜひご一読ください。
分別・搬出などの作業を一任できる
遺品整理は膨大な量があり、多くの時間が必要になります。特に、衣類は段ボールに詰めると意外に重く、1人では搬出が困難です。業者に依頼すればプロが効率よく仕分けし、家具の裏や押入れ奥に残った衣類まで回収します。
遺族は現場に立ち会うだけで作業が完結するため、負担が大きく軽減されます。重労働から解放され、遠方や仕事が忙しい人でも遺品整理をすぐに終わらせられるでしょう。
買取を活用して費用を抑えられる
遺品整理業者の中には遺品の査定買取を同時に実施している企業もあり、作業費用を抑えられます。
高級ブランドやビンテージ古着、未使用タグ付きの衣類はその場で買取りされ、作業費から差し引きされるため、金銭面での負担を抑えられます。
供養付きで安心して任せられる
遺品整理業者の中には、お焚き上げや合同供養をおこない、衣類に感謝を込めて納めるサービスを提供しています。「亡くなった人の服をただ捨てるのは忍びない」「処分後の運気が気になる」という声は少なくありません。
業者によっては、僧侶が読経して霊前に衣類を手向ける個別供養や供養証明書の発行、写真・動画による報告をおこなってくれます。遠方に住む遺族や立会いが難しい家族でも、心残りなく任せられるのは、大きな安心材料となるでしょう。
遺品整理の服についてまとめ

衣類は遺品の中でも量が多く、思い出深いアイテムです。整理を始める前に遺言書を確認し、家族で形見分けの方針を決めておけば、不要な衝突を回避できます。
仕分けの際は、以下の4ステップで進めると効率良く進められます。
- 残す
- 再利用
- 保留
- 処分
処分方法はさまざまあるため、量や時間、費用によって自分に合った方法を選びましょう。作業負担を減らしたい場合は、分別から買取・供養まで一括で任せられる遺品整理業者の活用がおすすめです。
タイヨーが提供しているサービス「遺品整理みらいへ」では、遺品整理士資格を持つスタッフが遺品を丁寧に取り扱い、必要な作業をお手伝いします。買取りにも対応しているため、まだ使える遺品が多かったり貴金属類を保有していたりする場合は、作業費用を抑えられます。遺品整理でお困りの際は、電話・メール・LINEでの無料見積もり相談をご利用ください。