チャリ運転中の高齢者が路肩で転倒~偶然真後ろにいた弊社ドライバーはその時……

2025年6月6日、弊社に一本の電話が入りました。
「意見と言ったら、おかしいんじゃけど……」
どうやら通常のお客様からではないご様子。
受話器を取った営業スタッフが『なんだろう……?』と一瞬身構えると、電話口の女性が意外なことを語り始めました。
「西区の三篠町(みささちょう)でおたくの車が走っとってな」
「はい」

「その車の前でチャリがコケてな。転倒したおじいちゃんをおたくの従業員さんが助けてたのを見たんよ。それで、なんや、ありがとうと伝えたい気持ちになってな」
「さようでございますか。わざわざお知らせくださり、ありがとうございます!」
「そうそう、車のナンバーは……」
聞けば、当日そのルートを回っていたのは是松でした。
人一倍優しいベテランスタッフであり、彼なら納得だ――そう思いながらも詳細を尋ねるため、さっそく営業事務所まで来てもらいますと……。

是松「あの……ワシ、なんか怒られるようなことしたじゃろか……」
田中(広報)「いや、違うんです、是松さんの姿をご覧になった市民の方からお電話がありまして」
是松「はぁ……」
露骨に訝しむ是松に、会社へ感謝の電話が入ったという事情を一通り話し、本人に納得してもらうと、あらためて当時の状況を説明してもらうことにしました。
以下、是松の一人語りとさせていただきます。

場所は確かに西区の三篠町でした。
信号待ちをしていたときに、交差点の先を直進していたチャリが突然倒れまして。
最初は「すぐに起き上がるじゃろ……」と思ってたけど、どうも様子がおかしい。よく見たら、結構なおじいちゃんだったんよ。
それで、慌ててチャリのところまで駆け寄った。
距離にして20~30メートルぐらいじゃろか。
コケたおじいちゃんは、歩道にある花壇とチャリに挟まれて動けなくなってました。
「大丈夫かい?」と声をかけたら「あぁ、ありがとう」と、こっちを見ながら返事もできたので。
身体を抱えてゆっくりと立ち上がってもらい、そのまま少し話していたんです。救急車を呼ぶほどではないなぁ、ということで一先ず安堵していました。
そのうちに、おじいちゃんも「また肋骨が折れたかもしれん(笑)」と笑いながら冗談を言う余裕も出てきて、また一人で自転車を押し始めたんです。
『あぁ、これで大丈夫じゃな……』
ケガの無いことがわかると、今度は自分のパッカー車(ゴミ収集車)が気になったので、大急ぎで車に戻ってまた回収を始めました。
大体こんな感じじゃのぅ。
特に語るような内容でもないんじゃけど、こんなんでええの?

田中「ありがとうございます。とにかく最後は冗談を言えるぐらいで良かったですね」
是松「ほんとに。最初はだいぶ苦しそうだったけぇ」
田中「“また肋骨折れたかも”ってことは、以前も折ったことがあるってことですもんね」
是松「前もチャリでコケたんじゃろか……そこまで詳しくは聞けんかった(笑)」
田中「それにしても、市民の方からお電話をくださったのは嬉しいことですね」
是松「そうじゃね」
田中「では最後に、今回の件で感じたことなどをまとめていただけると……」
是松「私達はゴミを収集する仕事してます。特に目立つような業務ではありませんが、地域の皆さんの生活の一部に関われているんだなぁと考えると、それはやっぱり嬉しくなります。今回の経験をまとめるとすれば、そういうことを感じられたことだったかもしれんです」
田中「是松さんは、私達の誇りですよ」
是松「なーんじゃ、それ、照れるわー(笑)」
